【もはやドイツ車】
今となってはドイツ車と言っていいのだろうか。その走りは、しっかり感を全身で感じられる。FF特有のアンダーステア特性は常に有している。それは、フロンタイヤへの非常に大きな負荷を意味しているのだろう。ブレーキングでしっかりとフロント荷重を与えてコーナーを駆け抜けようとしたところで、フロントタイヤの負担が増えるだけで、鋭い旋回へは移行できない。

そこで、車載映像を見るとお分かりになると思うが、ステアリングはゆっくりと丁寧に操作する必要がある。すると、アンダーステアを完全に消し去ることはできないが、しっかりとこの車は応えようとしてくれる。ここに、この車の剛性感を感じるのである。

それだけではなく、非常に感心したのは、フルブレーキングを終えてフロント荷重が最大になったときに、FF車にありがちなリア荷重がすっかり抜けてブレイクしてしまうことが一切無いのだ。この安心感は絶大であり、ここにMini一番の剛性感を感じられるのだ。実際に、単純な私の不注意でオーバースピードでBreidscheidに進入してしまったのだが、フルブレーキングをしつつ、何とか壁への激突を回避してラインを大きくはずしてしただけで済んだその時でさえ、荷重変動が大きく安定性を大きく欠いて挙動を乱しやすい場面においても、姿勢を取り乱すことは一切無かった。これはもはや、ドイツ車なのだろう。
