ポルシェの原点】

1956年モデルのスポーツカーとはどういうものか、半信半疑でドライブしてみた。それなのに、真のスポーツカーとはこういうものだと、逆に教えて貰うことになった。それは、Nordschleifeを颯爽に何食わぬ顔で走り抜ける勇士を見たら納得できるだろう。

とにかく、ハンドリングに文句は一切無い。思うがままのラインを疾走し、複合コーナーでもその身のこなしは軽快そのものであり、スポーツの本当の意味を教えてくれた。ブレーキもドライバーの意思に常に忠実で、車の基本設計の高さをまざまざと見せ付けられた。一点だけ注文をつけるとすれば、サスペンションがもう少し締め上げられていれば、もっと痛快な走りが得られたと思う。これは、当時のタイヤ性能を鑑みれば、妥当な選択だったのだろう。

時を越えて受け継がれる名車とは、こういうことなのか。ここにポルシェの原点を見た。